元型

コラム

元型

すべての悩みの根底にあるものを知る 「本当の自分」を発見するためには

By 岩田洋治

元型

私たちは自分自身について、二つのことを知りません。

 

一つは、自分自身の中にどれほどのエネルギーがあるのか。
もう一つは、そのエネルギーをどれほどブロックしているかです。

 

普段私たちが「自分とはこんなもんだ」と思っている自分は、本当の自分ではないと言えるでしょう。

 

自分の中に眠っている可能性、知恵、創造性、力、強さ、喜び、願い、豊かさ、愛を知らずして、
自分のことがわかっていると言えるでしょうか?

 

ただ、このように言われたからと言って、

 

「ああ、そうですね。今気づきました!自分の中に眠っていた可能性に!」
と簡単にはわからないのが悩ましいところです。

 

まずは、エネルギーをブロックしているものを知る
──これが私たちお勧めの方法です。

 

 

4つの元型

 

 

結論から言いますと、

 

私たちの無意識には犠牲者、子供、売春婦(夫)、つぶし屋という四つの元型が存在しており、日常生活のさまざまな場面で私たちの思考と感情を乗っ取っています。

 

例えば、

  • 「仕事なので一応ハイと答えているが、腹落ちせずにやらされ感でいっぱい」(犠牲者)
  • 「放っといて。私は私や。注意されるとすぐにムクれる」(子供)
  • 「数字の結果が全て。仕事の喜びを見失い目標を追うことに疲れる」(売春婦)
  • 「心の中で既にあきらめている。どうせ言ったって無理。どうせ変わらない。
    どうせダメなんだ。どうせ…」(つぶし屋)

というように。

 

 

いままで何気なく感じていたことを、「あ、今元型に乗っ取られている!」と気づく力をつけることで、少しずつ元型によってブロックされていたエネルギーが解放されていきます。

 

 

「意識」できるようになることがエンパワーにつながる

 

 

大切なのは、元型という言葉や概念を知ることではありません。
それを自分の中に見つめる「力」をつけることです。
元型の名付け親でもある心理学者のカール・グスタフ・ユングは、次のように語っています。

『必要なのは無意識内容の意識化なのである。われわれの行為のうちに現に流入しつつある無意識を意識化することであって、それによって、無意識に知らずしらずのうちに左右されたり、そのため望ましくない結果をきたしたりすることが防げるのである。』

 

自分の中に元型が存在することは何の問題もありません。問題はそれに無意識なことです。

 

 

すべての悩みの理由はあなたの内側にある

 

 

私たちは自分に都合の悪いことは見ないようにします。
残念ながら、これが変化を遅らせています。

 

それを見ること、そしてそれが自分ではないと知ること、これを日常現場の中でトレーニングしていくのです。

 

元型とは、人間ならば誰もが持っている傾向性です。
犠牲者は「許せない」と言い、子供は「納得できない」と言う。
売春婦は「生きていくには仕方がない」と言い、つぶし屋は「出来ない理由」を言う。

 

いずれも、国籍、性別、年齢に関係なく存在している普遍的なパターンです。
これらは傾向性であって、あなたではなく、あなたの性格でもありません。

 

言うならば人類に蓄積されてきた過去の記憶のようなものです。

 

私たちが人間関係で悩む時、経済のことで悩む時、自分自身を悩む時、表面的には様々な原因があるように思えます。

 

しかしながら、根っこでは元型が影を落としてしているのです。

 

問題は外側にあるように見えるかもしれません。
しかし、本当の課題は内側にあるのです。

 

私たちが日常で出会う様々な問題を、元型的な視座から見つめてみることは、今までになかった力を私たちに与えてくれます。

 

自分のエネルギーをブロックしているものの正体を見つめること。
この小さな積み重ねが、やがて大きな変容へと繋がっていくのです。

 

岩田洋治

この記事を書いたのは:岩田洋治

1964年生まれ
1987年 北海道大学工学部卒
1989年 同大学修士課程修了
      同年外資系メーカーに入社
      国内および海外にて研究開発者として勤務
1998年 同社を退社、行動科学研究所に加わる
2019年 行動科学研究所所長に就任

PEP個人セッション、リーダーシップラボ、PEP企業研修などを通して、個人や組織のエンパワーメントをサポート。

関連するコラム Columns

コラム一覧はこちら

各種お申し込みはこちらから