フェーズが変わるとき

コラム

フェーズが変わるとき

静かな変化を見逃さないように まずは自分から変容する

By 岩田洋治

フェーズが変わるとき

 

0℃になると氷は溶け始める。
溶けている間、ずっと氷は0℃のままだ。
与えた熱は全て、氷が溶けることに使われている。

 

100℃になると水は蒸発し始める。
蒸発している間、水はずっと100℃のままだ。
与えた熱は全て、水が水蒸気になることに使われている。

 

このように、フェーズが変わる時は、
一見なんの変化もないように思える。
しかしよく目を凝らすならば、
新しい形が生まれようとしているのが分かるだろう。

 

失われた30年と言われる。
経済という温度は一向に上がらず、
賃金という温度も変わらない。

 

しかしよく見てみると、
熱量は新しい形が生まれることに使われている。

 

例えば、ティール組織や、ソース原理など、
新しいレンズで組織を見つめ直す流れが生まれてきている。

 

例えば、20世紀に布置していた利己的な遺伝子という世界観は、
生命は利他的であるという科学的発見によって置き換えられている。

 

例えば、新しいコミュニティーのあり方への模索が、
全国各地で起こっている。

 

フェーズの転換期において大切なことは、
既存のものを否定したり、
それと戦ったりするのではなく、
新しいものを創ることだ。

 

更に言うならば、自分がどう変容するかだ。

 

変容という言葉など、
これまであまり馴染みがなかったかもしれない。

 

しかし、与えられたいのちを精一杯生きようと思うなら、
また、家族を大切に思い、
地域社会や、職場がより良くなることに関心があるなら、
変容は避けて通れない。

 

自分から変わっていこう。
そう思い定めて、一歩を踏み出すことがリーダーシップだ。

岩田洋治

この記事を書いたのは:岩田洋治

1964年生まれ。北海道大学工学部修士課程修了。卒業後は3Mジャパンにて紙オムツ用粘着テープの開発を、日本および米国にて9年間行う。

1998年、父が創立した行動科学研究所に加わり、これまでの仕事とは全く異なる、人と組織のエンパワーメントの支援を始める。

エンパワーメントとは「眠っている力を呼び覚ます」こと。誰の中にも眠っている力があるものの、その力の発揮を阻害しているものもあって、もやもやしている自分の内面が意識化されることで少しずつ変容が進んでいく。深層対話を通して、そのプロセスを伴走している。

2019年12月、行動科学研究所の所長に就任、現在に至る。

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