人間関係のエンパワーメント

コラム

人間関係のエンパワーメント

自分と深くつながっていれば、相手とも深くつながる 人のことはよくわかる?

By 岩田洋治

人間関係のエンパワーメント

それが夫婦であれ、友人であれ、仕事仲間であれ、
他の人との関係の基礎は、自分自身との関係にあります。
この二つはつながっており、最も深いところでは一つのことです。

 

つまり、人間の中にある影とどのように向かい合うか、
そして人間の中にある光とどうつながるかということであり、
それが自分の内で起るか、外で起るかの違いだけで、結局は同じことなのです。

 

「あの人は自分には甘く、人には厳しい」とか、
「人のことはよくわかるけれど、自分のことはわからないものですね」などの言葉を聞いていると、あたかも二つは別々のことのように聞こえますが、
より深く話を聞いていくと、そんなことはあり得ないことがわかってきます。

 

人に厳しいひとは自分にも厳しく、そもそもその厳しさは少し歪んでおり、
決して人をエンパワーするものではなく、
その歪んだ厳しさに自分は日々晒されており、
自分のことを受け入れられない苛立ちを直視することができず、
周りにも歪んだ厳しさをまき散らすことで、かろうじてバランスを取ろうとしているのかもしれません。

 

人のことならよくわかると思っているのは、これまで自分自身に意識を向けてこなかっただけで、
また、他人に対してわかったと思っている部分も、ただ表面を少し引っ掻いた程度のもので、
その奥にあるものについては、自分がわからないのと同じくらいわからないのです。

 

 

自分との向き合いは、他者との向き合い

 

 

 

人は単純にできています。

 

自分自身とのつながりが深いほど、他者とつながることができ、
自分自身への理解が深いほど、他者への理解も深まるのです。

 

自分に対してはこうだけど、他人に対してはこうしているとか、
この人との関係はこうだけど、あの人との関係はこうだということは、
深いところではあり得ないのです。

 

『さばいてはいけません。さばかれないためです。
あなたがたがさばくとおりに、あなたがたもさばかれ、
あなたがたが量るとおりに、あなたがたも量られるからです』

 

『自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい』

 

これらの言葉が教えてくれるのは、二つに見えるものが、本来は一つであるということです。

 

だから私たちは、周りの人と向かい合うことで、自分自身と向かい合っており、
自分自身と向かい合うことで、周りの人との関係を変えていくことができるのです。

 

人間関係のエンパワーメントは、自分自身のエンパワーメントです。

 

もちろん人間関係は相手があることですから、相手が変わらないこともあるでしょう。

 

大切なのは相手が変わることではなく、相手との関係が変わることです。
相手との関係がエンパワーされることです。
それは自分から始められるのです。

 

人間関係の問題を、表面的な部分だけで捉えるのではなく、
私は一体何が問われているのかをいつも大切にしていきましょう。

 

そして、一つ一つの機会を、自分が強くなるために生かしましょう。

 

強さとは、影と向かい合い、背後にある光とつながることのできる力です。
それが自分の内であっても、外であったとしても。

岩田洋治

この記事を書いたのは:岩田洋治

1964年生まれ
1987年 北海道大学工学部卒
1989年 同大学修士課程修了
      同年外資系メーカーに入社
      国内および海外にて研究開発者として勤務
1998年 同社を退社、行動科学研究所に加わる
2019年 行動科学研究所所長に就任

PEP個人セッション、リーダーシップラボ、PEP企業研修などを通して、個人や組織のエンパワーメントをサポート。

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